第1話 現れた開祖様

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「・・ところで、信二。」 「ん?」 「お主、立川流を教えてほしいと言ったが・・それは心構え、理念の方か?それとも、交わりの時の技術の方「理念でお願いします。」 ・・・そうか。」 実技は流石に御免こうむる。詳しいことはわからないが、ともすれば解説付きで蓮念の裸体なんかを見ることになるかもしれん。しかも天然で言う所からしてやるとなれば真面目にやるのだろう。ついて行ける自信がない。 「あと、最初に言っておくけど、あまり深入りした儀式なんかは遠慮させてもらうからな。」 万が一部屋に髑髏なんかが祀られては大変だと思い、前もって宣言しておく。曲がりなりにも僧だ。先に約束しておけば破る真似はしないだろう。 「むう・・仕方がない。居候の身でワガママは言えんからな。」 少し前に『家で休ませろ』といったのを思い出したが、黙っておいた。こうしてみると物分りはよさそうだ。 「ま、今日のところは疲れたんで、ゆっくり休ませて・・」 そう言いかけた時、 ぐうぅ、 と、二人の腹から間の抜けた音がした。 「・・そういや、夕飯食ってなかった・・」 そう言いながら、台所へ行く。とりあえずなんかテキトーに作るか。 「飯は、いつもお主が作るのか?」 「ああ、親は仕事でほとんど家にいないんだ。」 冷蔵庫をのぞきながら答える。しかし、中にはコーラ、温めるだけのピザトースト・・ろくな食材はなく、俺はつい蓮念が見てこないか気にしてしまった。 「ほう、感心じゃな・・ところで、お主はいつも何を食うておる?」 冷蔵庫の中を見て言ったのかと一瞬うがったが、蓮念の顔は例によって天然だった。 「え、えーと・・カップ麺、とか・・」 「?何じゃそれ?」 「ろくなもんじゃないです。」 人に出すようなもんではないので、俺は適当に答えた。すると、蓮念は顔をしかめる。 「ろくな物ではないのに何時も食うだと?お主、体は大丈夫なのか?」 「あーいや、今のところは何ともないので・・」 実際のところ少し気にしていたので、答えがしどろもどろになる。しかし、蓮念は予想以上に食いついてきた。 「信二、若い内に体を大切にせねば、後悔するぞ!精は続かず、体力もなくなり、夜の行為にもすべからく・・云々」 「夜の行為って・・」 独特の叱り文句だな、と思っていると、蓮念はふとこんな事を言った。
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