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「じゃ、また明日な。」
「おう!」
校門前で涼と別れる。あの後結局話が弾むことはなく、授業が終わるころには涼もすっかり忘れたようで、部活にも入ってない俺たちは早々に帰路に就いたのだった。
「さて、さっさと帰るか・・・」
そう呟いて、人通りの少ない帰り道へすたすたと歩き始める。同時に、あの話が脳裏に浮かんできた。
『その密教、HがOKだったんだと!』
「はー、そりゃーおめでたいことで・・・」
鼻で笑い、嘲るようにつぶやく。
俺は宗教は全然信じてない。新興宗教はもとより、三大宗教も同じだ。ただひたすらにくだらない。あんなもん、なんの役に立つってんだ。
「おっと、いけね。」
ひとりでにそんな言葉が出る。宗教となると、どうしても嫌悪感がわく。失礼な話だが、まあ、いろいろあるのだ。
「にしてもあのバカ、なーにが立川流だよ・・・」
言いながら路地を曲がろうとしたとき、ふいに声がした。
「すまん。そこの少年。今、立川流と申したか?」
「え!?」
急いで振り向くと、そこにはぼんやりと人影があった。暗くて顔はよく見えないが、声とシルエットからして女の人だろう。よく見ると周りの風景に似合わない、葬式で見るような、あの僧の着物を着ていた。
「あー、えっと・・」
あの人は・・尼さんか?うわ、聞かれてたか・・なんか恥ずかしいな・・。
俯いて頭をかいていると、
「お主、立川流を知っておるのか!?」
「わ、わっ!?」
急に大声を出し、駆け寄ってきた。な、なんだ?立川流が一体どうしたんだよ・・・
「教えてくれ、立川流は今どうなっておる!どこまで知れ渡っているのじゃ!?」
「ちょ、な、なんですか!」
いきなり肩を掴まれゆすぶられる。訳がわからず俺が混乱するのを見て、女の人はハッとなり、こういった。
「す・・すまぬ。初対面の者に、なんと失礼な・・」
「ああ、いえ・・」
正直失礼を通り越して意味不明だったのだが、素直に謝ってきたので、俺は何も言わなかった。
「あの・・あなたは、一体?」
いまだ申し訳なさそうにしているその人に向かって、俺は聞いた。とりあえず何者なのかを聞きたい。
「ああ、我は、連念と申す。
我の生み出した真言立川流の様子を見届けようと、降りてきた次第じゃ。」
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