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夕食を終え、キーアがリムスと共に食器洗いに行くと、フォンはクルトと二人きりになった
「親父、そろそろ俺も実力ついてきたと思うんだ」
「うん?
お前から誘ってくるとは珍しいな」
食後のワインを飲もうとしていた父の向かいに座り、身を乗り出すように話し掛ける息子にクルトは最初は面食らっていたが、続く言葉に笑みを見せた。
「俺も槍が欲しいんだ!
魔力で創る槍じゃない、親父みたいなカッコいい本物の槍をさ!!」
「そうか、お前もそろそろ200になるからな、男としては当然か…いいだろう」
ゆっくりと腰をあげると、近くの壁に掛けてあった二本の木の槍を取り、片方をフォンに投げた。
「俺に一撃喰らわせたら槍を見繕ってやる」
「言ったな親父!!」
「見てろよ」と意気込みながらリビングを出ていくフォンに、苦笑しながらクルトも出ていった
「親父、時間はどうする?」
「ふ、槍が欲しいんだろう?
なら今回は無制限だ」
「わかったよ」
笑いながらそう喋っていた二人は、直ぐに表情を引き締めると、槍をそれぞれ構える
「フゥ……」
「…………始めッ!!」
「ッ!!」
クルトの合図にフォンは駆け出し
次の瞬間、激しくぶつかり合う音が辺りに響いた。
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