Prologue2 「未来を決められた日」

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一度目の交差の後、クルトはフォンを押し返すと、槍を大地に突き立て笑った。 「どうした、まさかその程度で槍が欲しい等と言った訳じゃないだろう?」 「当たり…前ッ!!」 「フッ……甘いな」 瞬間的な加速魔法を使い背後を取って槍を降り下ろすが、クルトは見向きもせずにそれを槍で受け、フォンは再び距離を取らざるを得なかった。 「まだまだ…!!」 「ほぅ…?」 フォンの次の策は魔力で作り出した分身を使った撹乱戦法だった 二つに分かれたフォンは、一目ではどちらが本物かは区別がつかないだろう だが、クルトは不敵な笑みを崩さない 突っ込んできた二人の内、右のフォンに向けて迷わずに槍を突く 「うわッ!?」 「分身はいい考えだがな、攻撃の際に敵意が剥き出しすぎる、それでは直ぐにバレてしまうぞ」 咄嗟に回避したフォンは、体勢を崩して地面に滑る様に転ける クルトは、また槍を地に突き刺す 彼は最初にフォンを押し返してから、一度もそこから動いていなかった。 「うぅ……」 「おいおい、もうダウンか? 成長したと思っていたんだがな…買い被りすぎだったか?」 挑発的な父の言葉に、フォンは土を握り締めながら立ち上がり、転けた際に切った頬の血を拭って槍を構えた。 「…………」 キッと睨み付けるフォンに、クルトはニヤリとし、「それでいい」と小さく呟いた。
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