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「くっ…おおぉぉぉ!!」
既に手遅れに思える状況の中、フォンは足掻く事を選んだ
身体を捻って胴に致命打を与えられるのを避け、脇腹に走る痛みを我慢して、殆ど無意識のレベルで槍を突きだした
「ぐぅっ…まだ、だぁぁああああああッ!!」
それが当たったかどうかも分からずに、彼は自分の意識が落ちていくのを感じていた。
次にフォンの目が覚めた時には、彼は自分の部屋のベッドの中にいた
「あれ……」
窓はまだまだ暗く、深夜なんだなとぼんやりと考えて、そこで漸く自分がどうしてここにいるのかを思いだし、布団を払い除けて起き上がった。
「そうだ、槍!!」
「んぅぅ…」
「っと、あぶな…」
隣で眠る妹が眉をしかめるのを声から察し、静かにベッドから抜け出たフォンは、優しくキーアに布団をかけ直してやり、優しく頭を撫でてやると、キーアは再び安心しきった様子で寝息をたてた
フォンはそれを優しげに見詰めながら、部屋を出て一階に降りた。
リビングに降りると、クルトがワインを飲みながら黄昏ていた
降りてきたフォンに気が付くと、フッと微笑を湛えながらグラスに残ったワインを一気に飲み干した。
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