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「あぁ、目が覚めたのか…何か飲むか?」
「あ、うん…えっと、ミルクでいいよ」
そう返すと、クルトは笑いながら「まだまだ子供だな」と言い、フォンは気恥ずかしげに顔を背けた。
「いいじゃん、好きなんだから」
「分かるよ、俺も昔は好きだった…ほら」
「ありがと…好きだったって、ミルク?」
カップを受け取りながら尋ねると、今度はクルトが気恥ずかしげに笑い、小さく頷いた
「心が落ち着くからな、あれは」
「昔は…って事は、今は?」
そう問い掛けるとクルトはグラスになみなみとワインを注ぎ、グラスを持ち上げ
「当然、こいつだ」
ニヤリとしてみせる父に、フォンは乾いた笑みが零れた。
「ははは…なぁ、親父」
「ん?」
「槍は…?」
恐る恐るそう聞くフォン
本当はどうなったと聞こうと思っていたのだが、駄目だろうという後ろ向きな考えから、続く言葉を飲み込んでしまったのである。
「槍か? …知りたいか?」
「う、うん…」
「槍はな…」
「…槍は?」
勿体振る父に、思わず生唾を飲み込んで鸚鵡返ししてしまう
「……合格だよ」
「駄目だよね…って、え?」
思わず落ち込んだフォンは、頭で父の言葉を冷静に思い返してまの抜けた表情で見返す、クルトはいい笑顔でフォンを見ていた。
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