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「なぁフォン」
「何さ、親父?」
一頻り撫でられた後、リムスには内緒だと念を押されながらフォンは父からワインを貰い、共に飲み明かしていた。
「お前…急に槍が欲しいって言ったの、誰のためだ?」
その言葉にフォンは飲んでいたワインを気管に入れ掛け、むせてしまう
完全に予想外のその質問に、フォンは平静を欠いたまま反論した。
「べ、別に?
良いじゃんか、どうだってさ…」
だが、それも逆効果にしかならなかった
しりすぼみになっていく言葉に、クルトは意地悪そうに笑うと、グラスを呷り、次のワインを注いだ。
「ふふ…言いたくないか?
まぁ、今の反応で大体読めたがな」
「う……」
一口飲んでグラスを置いたクルトは、じっとフォンを見詰める
「レミリアとフランだろう…違うか?」
「ぐぅ……バレた…」
「まぁ、何時ものお前達を見ていれば…多少は、な…」
観念したかのように俯くフォンをクルトは優しげに見詰め、再びグラスを傾けた。
「俺…あいつらの近くにいたいと、思うんだ…」
フォンは、何処か遠くを見るような顔をしながら、ポツリとそう呟くように言った。
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