Prologue2 「未来を決められた日」

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悪魔達の棲む場所として、そして一度そこに連れ攫われれば帰る事はないと、人は囁き畏れる洋館が幻想郷には存在する 紅い悪魔が住むその館 名を紅魔館と言う 外の世界から来たのではとさえ言われるそれは、妖精達の遊びの場として有名な霧の湖の畔にあった。 「で、その槍とやらは持ってきていない訳? はっ、お話にならないじゃないの」 「うっ…仕方ないだろ 今日貰える事にはなったけど、それより先に誰かに自慢したくてウズウズしてたんだ」 少し赤みがかった大きな満月が幻想郷を、洋館を照らす その中庭にある西洋的な小さな憩いの場、二人の少女と一人の少年が夜のお茶会を楽しんでいた そのお茶会の主催者であるレミリアに鼻で笑われたフォンは、目を背けながら紅茶を飲んでいた 「でも流石はお兄様! あのクルトに一撃決めるなんて!!」 「ありがとうフラン だが人の親を呼び捨てにするもんじゃないぞ?」 金の髪に七色の宝石が生える歪な翼、レミリアの妹であるフランドール・スカーレットは窘められると「ごめんなさーい」と舌を出して謝り、直ぐに茶請けのクッキーに意識を向けた。 美味しそうに次々と食べるその姿にフォンもレミリアも揃って微笑む 人々が噂するモノとは程遠い空間が、此処にはあった。
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