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問い掛けられたクトゥヴァは溜め息をつくと、フォンから離れて構えを解いた
「はぁ…前回もそれしか言わなかったよなぁ…お前
なぁ、いい加減諦めねぇ?」
「ふ…巫山戯るな…巫山戯るなよッ!! 俺から大切なモノを三つも奪っておいて、よくもそんな事をほざいたなァッ!!」
飄々とした態度に怒ったフォンは、槍を構え突撃の姿勢を取る
「すまない」
「…何?」
が、突然の謝罪に困惑し、構えを解いた
心底すまなそうな顔をしたクトゥヴァはブレードを床に突き刺しそれに寄り掛かると口を開く
「正直に言うとさ、マジでもう"この世界"にいないんだわ、皆さ」
「やはりまた、間に合わなかったか…」
悔しげに俯くフォンを見ながら、クトゥヴァは言葉を続ける
「此処で生まれた新しい兄妹と一緒に、次の世界に跳んじまったよ、お前の妹は」
「なっ…貴様等、またT-ナンバーを造ったのか!?」
「今度のはかなり異色な兄妹だぜぇ? 特にお前が見たらさぞかしたまげるだろうさ、色んな意味でな」
それはどういう…とフォンが問い掛けようとするが、クトゥヴァはさて、と言葉を切り、唐突に床を踏み抜いた。
すると今までとは違った警報音と、あらゆるモニターの全てに危険を表す表示と、カウントダウンのようなウィンドゥが現れる
表示された時間は…10分
「なっ!?」
「おいおい何でこのアタシが親切に説明してやってたと思ってんだ…?」
呆れたような声色でブレードを担ぎながらフォンに笑いかけ
「テメェを此処で仕留めるんだよ、今度こそ、完璧にな」
言うが早いがブレードを叩き付けてその反動で躯を浮かせ、フォンに向けて落下した。
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