86人が本棚に入れています
本棚に追加
「嘗めるなと言った!!」
が、それをフォンは右手を薙ぐように動かす
銃弾を防ぐような行為には決して見えない非常識な行動だ
だが次の瞬間、なんと目前に迫った弾は消えてしまったのだ。
そして今度は左手を翳すと、その掌を中心として魔方陣のような物が展開し、そこから光輝く弾が撃ち出される
「マジかよ!?」
クトゥヴァは大型ブレードを盾に使うが、ここでブレードに限界が来たのか、真ん中から罅が拡がり砕け散り、幾つかの弾幕が彼女の躯を貫通していく
「ぐっ… 吸収の能力か、面倒くせぇなぁ畜生…ってて…」
不意討ちを決めた筈のクトゥヴァは逆に反撃を喰らい、怪我を負った箇所を撫でた
そこからは、紅い血液以外に茶色の液体が漏れでて、貫通した孔からはコード類のような物が断線して覗いていた。
「忌々しいな…お前が機械人形でさえなければそのまま死ぬものを…」
そう、彼女を含めたT-ナンバーと言われる物は機械で出来た存在、高性能戦闘アンドロイドなのだ。
それを冷たい瞳で見ていたフォンは、槍を構え追撃しようとしてある事に気が付いた、穂先が折れて無くなっていたのだ
チラリと後ろを見ると床に弾痕とまだ撃ち込まれたばかりの証である煙が見える
どうやら全て消したつもりだったが生き残った弾丸が槍を突き抜け砕いたようだった。
フォンは舌打ちすると迷うことなく掌に差し込む
槍はズブズブと呑み込まれるように入り込み遂には全て入ってしまった
後には傷痕も出血もない
事情を知っているクトゥヴァ以外の第三者がいたらさぞ摩訶不思議な光景に見えた事だろう。
最初のコメントを投稿しよう!