Prologue1 「紅蓮に燃える双眸」

9/14
前へ
/146ページ
次へ
一方、槍を仕舞っている間に、クトゥヴァは自らのダメージを確認していた ―――ダメージ報告 胸部に被弾三 内一発により内蔵型転移装置に致命的な損傷、起動不可 右腕被弾一、ダメージレベル小破 左腕被弾二、ダメージレベル中破 左腕内の駆動系に異常、通常戦闘に耐えられない可能性有 脚部、軽度の裂傷はあるが、然したる損傷皆無 戦闘継続、条件付きで可――― 一瞬でそれだけの情報量を把握したクトゥヴァは、小さく「マジか…」と呟いた (転移装置が壊れたってこたぁ、もう戻れねぇか…) 大型の、自らの兄妹達が使った転移装置は既に自分自身で敵に後を追わせない為に破壊している 自爆装置を作動させて、自分はギリギリの直前に内蔵型転移装置によって合流する筈だったのだ。 ―――警告 極秘研究施設No.422 自爆迄後3分 嬉しくない情報が追加で網膜に投影される そして眼前の敵を見る 「……………」 槍を仕舞い終えたフォンは、何も構えないまま…端から見ればただ突っ立っているように見える姿勢で此方を冷たい眼差しで見ている。 (細かい切り傷は多々あるが、致命的な損傷は何一つとしてない、か… 昔は圧倒してたってのに…) 思い起こされるのはまだ少し幼さが残る頃のフォン あの時は何もさせぬまま消えたというのに… そう思うと、クトゥヴァは立場が逆になったな…と、自然とそう感じていた。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加