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愛があるから生きたい*
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世界は自分を中心にまわっているのだと…そう信じてた。
七年前の冬。
彼も私も、まだたった17歳だった。
タッタッタッタッ
一秒こどに近づく、その音に私は頬を緩ませた。
「悪い。美亜、待たせたな」
「ううん。大丈夫~」
校門の前でしゃがんでいた私は立ち上がる。
修が、息を切らせながら、ここまで走ってきたのに気がついたからだ。
「っしゃ、今日どっか寄りてぇとこあるか?」
「えー、今節約中でしょ?」
「そんなん気にすんなって」
寒い外気に、暖かい吐息を吹き掛ける彼。
そんな彼を見て、私はにっこりと笑った。
「やっぱり、やめとこ?」
「なんでだよ」
「今日は修の部屋でゆっくりしたいの!」
そう言いながら私たちは歩きだす。
「ねぇ、修。なんだったの先生?」
「あ~何か。遅刻すんなとか…」
「あ~なるほど。でもさ、修バイトで大変だもんね。仕方ないよ。」
「うー……深夜のやつはさすがにきびしいかもな」
「無理はダメだからね!」
「バーカ、俺は全然問題ねぇ~よ」
ニカって笑って、修は私の頭を小突いた。
「いてッ!も~!!」
なんて、言いながら、私は小突かれたとこをさする。
さりげなく私の手を引き、ぎゅっと握り締める。彼の広い背中を見ながら。
修の家庭は母子家庭だった。お母さん思いの修は、家計を助けようと、高校に行きながらバイトをしている。だから、会えることが少なかったり、メェルだって電話だってかぎられたりする。けれど、私は充分な幸せを彼からもらっていた。
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