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ユリちゃんが歩いていると、向こうのほうからご近所に住んでいる佐藤さんのお兄さんが歩いてくるのが見えました。
「お、ユリちゃん、学校の帰りかい?」
佐藤さんのお兄さんがそう言って手をふってきたのでユリちゃんは、佐藤さんのお兄さんを見上げてほほえみました。
と、そのとき、一匹の猫が垣根を飛びこえて、ユリちゃんのほうに走ってきたのでユリちゃんは、猫にニャ~、ニャオ~ン、と猫語で話しかけたので、佐藤さんのお兄さんは、不思議そうな目をしてユリちゃんをながめて言いました。
「あれ、ユリちゃん、猫とお話しできるの?」
するとユリちゃんは、大きくうなずいて言いました。
「そうだよ!ユリ、猫と話せるんだよ!」
ユリちゃんは、佐藤さんのお兄さんにそう言うと、猫にニャ~ン、ゴロニャ~ン、と話しかけたので、猫もユリちゃんにニャ~ン、ゴロニャ~ゴロ、と話しました。
佐藤さんのお兄さんは、それをニコニコしながらながめながら、ユリちゃんに聞きました。
「ユリちゃん、猫は、何て言ってるの?」
「あのねぇ、猫はねぇ、と、と、と、とんにょびょうに気をつけてって言ってるよ!」
「と、とんにょびょう? ああ、とうにょうびょう!糖尿病のことだね!」
佐藤さんのお兄さんは、そう言って豪快に笑いました。
「わかったよ。猫に糖尿病に気をつけると言っといて」
佐藤さんのお兄さんが言うと、ゆりちゃんは、大きくうなずいて、猫にニャ~、ゴロニャ~ゴ、と話すと、猫はニャ~ゴロニャ~、と鳴いて、ちょっと佐藤さんのお兄さんのほうを見てから、板塀の下のすきまをくぐって向こうの家のほうへ行ってしまいました。
「猫は、何て言ったの?」
佐藤さんのお兄さんに聞かれ、ユリちゃんは、ほほえんで言いました。
「おだいじにって!」
佐藤さんのお兄さんは、それを聞いて大きな声で笑いました。
「そうか!猫は病院の先生みたいだね!それじゃ、ユリちゃん、バイバイ!」
佐藤さんのお兄さんは、手をふって歩いていきました。
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