あの時、俺は

3/14
前へ
/23ページ
次へ
可愛い、だけじゃ気持ちが留まらなくなったのは、いつだったか。 中3になり、運よく彼女が担任になり。 差し迫る受験と、俺のうだつの上がらない成績に 彼女は少し――、かなり、焦っていたように思う。 当の本人は、まるで他人事だと言うのにな。 似たような落ちこぼれを集めて、夏休みを潰して補講が行われた。 英語だけじゃなく他の教科も合わせてだ。 教員は有志のみ。 麻里子を含め、若手の教師3名体制だった。 麻里子だけを見ていた俺が。 麻里子の視線が辿る先に気が付くのに、 そう時間はかからなかった。 その時初めて年の差を知り 立場の違いを知り 唇を噛んだ――15歳の、夏。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加