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16時を回った頃から、先生はチラチラと時計を気にし始めた。
冬の最終下校時刻は17時、
まだ余裕はあるはずなのに。
隣の教室では菅井が、同じように落ちこぼれ受験生の数学を個別指導していることを俺は知っている。
もしかしたら、
『その後2人で』
――約束が、あるかもしれないことも。
行かせたくなかった。
ギリギリまで粘って、こどもの特権利用して、駄々をこねて。
まだ分からないところがあるからと
どうしても今日中にここを理解したいのだと
真剣に訴えて縋れば、もしかしたら。
今日は、
今日だけは。
もしかしたら、その願いが叶うかもしれないと。
浅はかな期待をした、
勉強以外でもどっぷり落ちこぼれた、馬鹿な男子中学生。
それが、俺。
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