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「どうした。人間に進化して自我にも目覚めたか」
「人間だって!これは、俺は人間という生き物になってしまったのか!なんてことをしてくれたんだ!」
猿は自分が人間になったことを知ると、酷く憤慨した。当然だろう。猿という主を人間の都合で簡単に捨てさせられ、人間にされてしまったのだから。
それでも、猿から人間に進化できたのだ。
「せっかく、人間に進化できたのだぞ。少しは感謝でもしたらどうだ?」
「進化だって?冗談じゃない!何で、猿から退化させたんだ!」
「え?」
Y氏は猿の言葉にギョッとした。今、猿はハッキリとした口調で『退化』と告げた。
「せっかく、働かなくてすむように大昔に薬を使って時間をかけて猿に進化してきたというのに・・・。お前らが妙な薬を注射しやがるから、人間に退化してしまった!」
Y氏はP博士が何故、落胆していたのか理由が分かった。自分達は怠けることを進化させてきた動物よりも遙かに劣る生き物であることを知ってしまったのだから。
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