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Y氏とX氏とZ氏は同じ、R社から委託された採掘作業員であった。R社の仕事は宇宙の星々に埋まっている貴重な鉱石を採掘して地球や中継基地へと運搬する仕事をしていた。三人はR社から委託され、遠い星まで採掘に出向いた。
正直な話であるが、三人は委託されたとはいえ、あまり気が進まなかった。それというのも、これから向かうパル星というのは曰わく付きの星なのだ。どういう訳なのか、その星で採掘を行った他の採掘作業員の多くは帰りの船で原因不明の発狂を起こすのだ。発狂といっても、暴れたりはしない。帰ってきた時は、石のように黙り込んで何を聞いても答えようとしない。簡単な治療で回復するようだが、その不気味ともいえる現象は多くの作業員を敬遠させた。三人も断ろうかと思ったが、委託である上、仕事をやるしかない。
R社の社長も、
「万が一の時も安心したまえ、全員、治っているのが分かるだろう。何が起こっても心配はいらない」
と、嬉しくもない励ましを三人にするのだ。
三人は渋々、パル星に向かうことになる。宇宙船には採掘に必要な機材から退屈を紛らわす嗜好品も積まれていた。長期の仕事だからこれぐらいの優遇は必要なのだろう。
それでも三人は気になって仕方がない。これから、パル星でどんなことが起こるのか。それを考えると頭がいっぱいになり折角、用意された嗜好品になど手をつけられなかった。
数回のワープを繰り返して、宇宙船はパル星へと到着した。三人は恐る恐る、宇宙船の窓から外を覗いてみた。ところが、三人の目にしたのはごく普通の星だった。どこにも、危険など見当たらない。
宇宙船が着陸したあとも、三人は用心深く周囲を警戒しながら降りる。誰も居ない。R社の宿舎があるだけで誰も居ない星だ。その静けさがかえって不気味で、三人は緊張しながら採掘作業を始めた。
パル星で採掘される鉱石は地球で高値で取り引きされるものであった。本来は固形燃料なのだが、見かけが美しいことから燃料以外の取り扱われ方としては貴婦人の装飾品として愛用された。
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