三人

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「しかし・・・何だな・・・」 「ああ・・・」 「すごいな・・・」  三人は宇宙船から降ろした掘削機で掘り出される鉱石を見て唾を呑んだ。それというのも、どの程度の量が採掘されるのか、知らされていなかったからだ。実際に掘ってみると、面白いように鉱石がとれた。よほど、大量の鉱石がパル星の地層には眠っているのだろう。  掘り出した鉱石はそのまま燃料として使えるので三人は掘削機や鉱石を運ぶ機材に燃料を投入したり、整備をするだけでよった。  辛い労働や危険を覚悟していた分だけ、あまりにも簡単な作業に三人は拍子抜けになり、特にすることもないので手をつけないでいた嗜好品で時間を潰すようにした。ゲームで遊んだり、酒を飲んだりと。さすがに、火を使うタバコは危険らしく運び込まれることはなかったが、無くても充分であった。 「しかし、こんなに効率よく採掘されるとはな・・・」 「全くだ。話がうますぎて怖いぐらいだ」 「ところで、どうだろうか」  ゲームを楽しんでいたY氏が手を止め、二人に詰め寄った。 「これだけの量が採掘できているんだ。少しぐらい黙っていてもバレることはないよな」 「なるほど」 「そいつはいいな」  Y氏の提案に二人は頷いた。少量でも高値で取り引きされる鉱石だ。パル星には今、彼ら三人しかない。お互いに黙っていれば、少しぐらい盗んだところで発覚することはない。  三人はベルトコンベアで運ばれる鉱石を嗜好品を入れてあった箱に詰めた。欲張り過ぎては見つかってしまう。商品を盗んだことが発覚すればもらえるはずの報償ももらえなくなってしまう。  その後も作業は問題なく進み、目標にしていた分の鉱石が集まったことを確認すると、三人は機材を宇宙船へとしまい格納庫をしめた。できることなら、もう少し採掘に勤しみたかったが、これも仕事だ。名残惜しそうにパル星に分かれを告げ宇宙船を飛ばした。  結局のところ、何が原因で作業員が発狂するのかは分からないままだった。
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