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宇宙空間にZ氏の遺体を捨て戻ってきた二人は自分がやったことを後悔した。Z氏には悪いことをした。二人は亡くなったZ氏の冥福を祈ろうとした。
「あれ?二人とも、どうしたのですか?」
「え?」
二人は聞き慣れた声にギョッとして振り返る。すると、そこには何食わぬ顔でZ氏が立っていた。二人は顔から血の気が引いた。
Z氏の幽霊でも現れたのだろうか。いや、こんなにもハッキリとした幽霊など見たことがない。それにZ氏には足がある断じて幽霊なんかではない。
「そんなところに、突っ立ったりして。早く鉱石を分けましょう」
Z氏に言われ二人は苦笑いを浮かべながら頷いた。
きっと、Z氏を殺したのは何かの悪い夢だったのだ。そうでなければ、Z氏が生きているはずがない。ただ、二人の脳裏には嫌な予感があった。
やがて、その予感は的中することになる。この奇怪な出来事の後も同じようなことが繰り返された。鉱石の分け前を巡って口論になり二人が一人を殺してしまうのだ。その都度、宇宙に捨てると、その人物は何食わぬ顔で船内にいる。
頭がおかしくなりそうな現象だった。通信機を使って、この異常なループを抜け出したかったが、生き残った二人は思う。そんなことをすれば、殺人が発覚してしまう。そうなれば、全てが台無しだ。
三人は次第に狂っていった。黙り込み機械的に殺しては生き返るというループを繰り返したのだ。
地球に戻った頃、三人は発狂していた。暴れる訳ではないが、無言のまま宇宙船を降りた。誰が何を聞いても答えることはない。明かにおかしいと、三人は病院へと連れ込まれ、治療を受けることになる。
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