日常。

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--- まばゆい光が、それまで暗かった世界にさした。 嫌な光だ。 俺はしぶしぶ目をあける。 手探りで携帯を探し、時間を確認する。 午前4時。 俺はもう一度布団に潜り込んだ。 --- 見慣れた通学路を歩く。 今朝見た夢のせいか、なぜか気分がスッキリしない。 ついでに言うと、珍しく頑固な寝癖がついて それとおよそ30分の格闘をしたが 結局あまり変わらなかったので不機嫌である。 「おはよう、戸田くん」 自転車の走行する音と共に後ろから声が聞こえる。 「おう、なんだよ和義かよ」 「戸田くん、寝癖すごいよ。」 「そうなんだよ、今日バイトなのに」 「うわ、どんまーい。 ところで戸田くん、いつから徒歩通学になったの?」 「いやぁ、チャリぶっ壊した。」 「なにやってんだよ」 なにやってんだよ、と言いながら 鼻で笑う和義の顔は、俺を馬鹿にしているようで 相変わらずうざかった。 「まぁ、戸田くんが歩いていくなら、僕も歩きましょうか。 うわー、俺って優しいー。」 「うぜえぞ、和義」 「ははは、まあ時間あってよかったね。  いつもの俺たちの出る時間じゃ、徒歩じゃ間に合わないもんな」 「そいや、なんでお前今日こんなに早いの?」 「ちょっと朝に用事があってさ、でも済んだ後は時間空いてたから  早めに学校行ってみようかと思って」 「用事?」 「いろいろあんだって」 和義が話をはぐらかすのは、よくあることだが 明確に「用事」「いろいろある」と こういってきたのは珍しかった。 しかも、付き合いの長い俺に対して。 気になったけど、あまり言いたくないのだろうと 聞き返すのをやめた。 「あー、空から美少女降ってこないかなー」 和義がぼやく。 いつも通りだ。 「本当になー」 心から共感して俺も返事を返す。 「えろっえろの美少女」 相変わらず変態だ。 こんな残念なやつなのに、結構イケメンだからムカつく。
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