29歳

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「何でっ!?」 「いや~ 俺もやっと現場任せてもらーー」 「いつもみたいに休んでよぉ~ 私、困る」 笑顔で話していた剛太の顔が強張った。 1度、外に放った言葉は後戻り出来ない。 「仕事だぞ。休めるかよっ。ゆめだって24、25休めって言って休めるわけ?」 「ケーキ屋が、休めるわけ無いじゃん!」 気まずい空気が二人の間に流れていた。 剛太の顔も、みるみる不機嫌になっていく。 「この業界だって、年末は忙しいのっ。俺みたいな高卒上がりが、社員でいられるだけ奇跡なんだよ。  解って言ってんの?」 剛太は、不機嫌になると必ず学歴の話を持ち出す。 一番のコンプレックスだからだ。 「じゃあ、私がバリバリ働くよ。  今はまだ下っぱだけど、もっと頑張って、店を持てるくらいのパティシェにーー」 「もういいっ」 剛太は、注文した料理も来ていないのに立ち上がった。
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