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「ちょっと、剛太っ」
そのまま鞄を抱えて帰ろうとする剛太に内心、優芽は焦った。
「頭、冷やせ。俺も冷やすっ」
ズカズカと歩いて剛太は、店を出ていった。
最近は、忙しくて中々会えないから。
時間を作って、やっと会えたのに。
こんなのって悲しすぎる。
優芽は、両手でじぶんの顔を覆って気持ちを落ち着かせた。
夢を叶えたいと仕事を辞めると決めた時も。
学校とバイトの掛け持ちの辛さに悩んだ時も。
今のお店に就職すると決めた時も。
いつだって話しを聞いて、背中を押してくれたのは、剛太だった。
「資格は持ってた方が良い。夢があるならなお良いぞ」
親の援助は受けないって決めてたから、専門学校が終わったら直ぐにバイト。
会える時間も少ないのに。
剛太は、いつも笑顔で支えてくれていた。
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