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そこで亜里沙が顔を上げた。
泣いてるのでは? と思っていたけど、どうやら違ったようだ。
「理乃、いいから。アンタは黙ってて」
「でもコイツがっ」
「いいのよ!」
と亜里沙が言ったので、理乃は再び椅子に座った。
私は実は亜里沙より、この理乃の方が苦手だ。
亜里沙の言いなりの気がする。
そんな私達のやり取りをずっと傍観している絵美は口を開こうとはしない。
「いいわ侑李。理由を教えてあげる!」
ニッコリ笑った亜里沙は残りのアイスティーを飲み干した。
――そして、汗を掻いたグラスをコースターの上にさらりと置く。
そのままその綺麗な指先が操るのは、テーブルに放置されたままだった自分の“携帯”。
何かを必死に探している様子の彼女だったけど、やっと見つけ出したのか、再び私へ差し出される……
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