余興の起首

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……ふと耳を澄ませば、何処からか聞こえてくる猫の鳴き声。 決して大きくはないはずなのに、この心臓とリンクして、思わず眉を顰めた。 こんなに緊張してどうするのっ、 怖くてたまらないなら、最初から駆け引きなんてしなきゃいいのよ! ミシッ! そして、一段一段慎重に下りる階段の音に、更に緊張を持っていかれて……このまま引き返そうか、何度も迷ってしまう。 やっとの思いで玄関に辿り着くと、最後の難関であるドアの施錠を外し、ドアノブをゆっくり回した。 「……っ、」 “開いた” たったそれだけの事なんだけど、顔が綻ぶ。 後は、別荘へ向かうだけだ。
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