1835人が本棚に入れています
本棚に追加
……ふと耳を澄ませば、何処からか聞こえてくる猫の鳴き声。
決して大きくはないはずなのに、この心臓とリンクして、思わず眉を顰めた。
こんなに緊張してどうするのっ、
怖くてたまらないなら、最初から駆け引きなんてしなきゃいいのよ!
ミシッ!
そして、一段一段慎重に下りる階段の音に、更に緊張を持っていかれて……このまま引き返そうか、何度も迷ってしまう。
やっとの思いで玄関に辿り着くと、最後の難関であるドアの施錠を外し、ドアノブをゆっくり回した。
「……っ、」
“開いた”
たったそれだけの事なんだけど、顔が綻ぶ。
後は、別荘へ向かうだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!