頼まれごと

12/12
前へ
/1221ページ
次へ
……そう言った絵美は私を見ていなかった。 携帯を弄っている。 「う、うん……」 「ボクはやめといた方がいいと思うけどね」 「絵美、どうして?」 「知らない! そんなの自分で考えなよ」 ガタッ! とそのまま絵美も立ち上がって、すぐにカフェテラスを出て行ってしまった。 一人取り残された私。 呆然としていたけど我に返ったように、床のアイスココアを片す…… “やめといた方がいい” そんなの無理だよ。 この大学で亜里沙を敵に回したら、私はまた孤独な大学生活を送る事になるんだよ? そうなったら……あの頃の生活に逆戻りだ。 そんなの絶対嫌だ。 私は生まれ変るの! そのためには卒業まで亜里沙の機嫌をとって、仲良しを演じるしかないの…… それしかないのよ―――。
/1221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1835人が本棚に入れています
本棚に追加