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そこで視界に映る信号が青に変わる。
前方、左右、斜め方向、……何処から湧いて出たのか分からないけど、すごい数の人々が押し寄せてくる。
でも私は交番前から動けなかった。
すごく……胸が痛くてたまらない。
自己嫌悪に陥る……
このまま嘘を吐いてデートなんてしたくないよ。
……眩しい太陽。
ジンジンと頭上へ降り注いできて、額に汗が浮かぶ。
スクランブル交差点手前で立つ彼は、背筋がピーンと伸びててまるでファッション雑誌から飛び出てきたモデルのようだ。
でも背後の異変に気づいたのか、そんな彼がゆっくり振り返る。
私は交番前のお巡りさんの隣で銅像のように突っ立ったままだ。
……足が金縛りに合ったかのように動かない……ううん違う、動けないのだ。
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