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ブルブル……
グラスを持とうとしたこの手が震えている。
だけど亜里沙の頼みは、断りづらい。
……そう思った私は、
「分かった。その代り理由だけでも教えて?」
と言うしかなかった。
そこでテーブルに差し出された彼女の携帯。
ラメのシールがいっぱいで、大量のストラップもつけられている新機種だ。
でもそんな携帯そのものより、私はある画面に釘付けになった。
《亜里沙……忘れられないんだ。
もう一度だけチャンスが欲しい。
会いたい…》
……その文字が映し出されていたからだ。
「元彼からのメールよ」
「えっ?」
「会いたくないの」
「どうして?」
と不思議な顔して訊いた私の言葉に、目線を落とした彼女の肩が震えていた。
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