エリナ、瞬との夜空

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「そこまで思ったなら、どうやって立ち直ったの?」 質問に答える前に、瞬君は水割を飲んだ。 「立ち直った、って言えるのかな。自分でもよく分からないや」 「まだ引きずってる、ってこと?」 「怪我する前に戻って、もう一度レースを走りたいと思うことはあるよ」 「うん」 「でも、引きずってるって言うのとは、少し違うかな」 瞬君の言いたいことが分からなくて、私は小首を傾げる。 「10年近く経ってるからね。今は懐かしく思い出す感覚。昔みたいな苦しさや無念さ、心の痛みはないよ」
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