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雅紀君は優しい口調で言ってくれたけれど、私はそれでも引き下がらない。
「だけど、無理なのは絶対じゃないんでしょ? 月々の返済が絶対にダメってわけじゃないんでしょ? さっき、そう言ったよね?」
「絶対じゃないけど、事情は話したよね。佳代ちゃんも理解してくれたと思ったんだけど」
雅紀君は困った表情を浮かべる。
真由子は呆れ果てたように、そっぽを向いていた。
私はグラスに残っていた水を飲み干すと、感情のまま口走る。
「全額返さなくても、一部でも返したら、月々の返済は楽になるの?」
普段お金のことに疎いくせに、このときは無我夢中だった。
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