佳代、雅紀との涙

30/37
前へ
/37ページ
次へ
あとに続く言葉は分からないけれど、私の緊張感は少しだけ和らいだ。 雅紀君の発した「ありがとう」に心がこもっているのを感じて、それも嬉しかった。 私は小さく頷き、次の言葉を待つ。 自分の想いは伝えたから、あとは雅紀君の気持ちを聞きたい。 「佳代ちゃん、本当にありがとう。突然こんな状況になって、今はお店のことで頭はいっぱいだけど……」 「うん」 私は雅紀君の目を見て、もう一度頷く。 「ほんと、こんな状況だから恋愛どころじゃないんだけど……俺、真由子ちゃんが好きだったんだ」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加