第0章 つまらない日常の1ページ

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 小鳥がさえずり、青葉が萌える5月の朝。鮮やかに晴れ渡る空の下、ただ1人で学校へと向かう少年の姿があった。  その整った容姿は女性が嫉妬する程美しく、男性が思わず唸り、感心してしまう程凛としている。  スッとした長い鼻に切れ長の目、小さな口とシャープな輪郭。全てのパーツが恐ろしいまでに整っている。短く切られたまさに『真黒』な髪もまた、神々しい雰囲気を出すのに一役かっているのだろう。  彼はまだ17歳の高校生にも関わらず他人が近寄り難いオーラを発しており、賑やかな朝の通学路だというのに彼に近付く者は誰一人としていない。  「あっ! あれ、三宮くんよ!」「かっこいい~」「話しかけてみたいなぁ……」「やっぱイケメンだよなぁ」「ウホッ、いい男!」などという呟きが辺りから聞こえるが本人は全く気にしていない。  お気に入りの洋楽をこれまた『真黒』なイヤホンで聞きながら晴れ渡る空を仰ぎ見て声を漏らした。 「つまんねーなぁ……」  誰に向けるでもなく呟いたその言葉は彼の何を表しているのだろうか。
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