914人が本棚に入れています
本棚に追加
実家から帰ってきて、パソコンはまだ開いていない。
藤岡さんさえ手に入れば、もう開かないかもしれない。
藤岡さんと、今まで貯めたポイント分のお金で充分だ。
もう、アンケートはお終いにしよう。
父母の死から今日まで考えて出した答え。それを胸に秘めて、私は駅へと向かった。
午後6時、前回待ち合わせたロータリーに、セダンタイプの白いハイブリッドカーが1台停まっていた。そこに乗っているのは、もちろん藤岡さんだ。今日も、黒いシャツにデニムといったラフな格好をしていて、髪型も崩している。
心なしか、元気がないように見えた。
どうしたの? と聞きたいけれど、運転中は会話が出来ない。こんなとき、聴力を失ったことが悔やまれる。
最初のコメントを投稿しよう!