第3話 竹内真帆編③

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 実家から帰ってきて、パソコンはまだ開いていない。  藤岡さんさえ手に入れば、もう開かないかもしれない。  藤岡さんと、今まで貯めたポイント分のお金で充分だ。  もう、アンケートはお終いにしよう。  父母の死から今日まで考えて出した答え。それを胸に秘めて、私は駅へと向かった。  午後6時、前回待ち合わせたロータリーに、セダンタイプの白いハイブリッドカーが1台停まっていた。そこに乗っているのは、もちろん藤岡さんだ。今日も、黒いシャツにデニムといったラフな格好をしていて、髪型も崩している。  心なしか、元気がないように見えた。  どうしたの? と聞きたいけれど、運転中は会話が出来ない。こんなとき、聴力を失ったことが悔やまれる。
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