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『今日、元気ないね。何かあったの?』
私の言葉を見て、藤岡さんの口元から笑みが消えた。彼は考え込むような素振りを見せたあと、返事を打ってくれた。
『実は、真帆に話さなくちゃならないことがある。僕には妻がいる。まだ結婚して1年も経っていない』
私は彼を見つめた。藤岡さんはすぐに次のメールを打った。
『でも、もともと不本意な結婚だったんだ。妻にはめられたようなものだったんだよ。僕が今、本当に好きなのは真帆だけだ。妻と別れて、真帆と人生をやり直したい』
彼の真剣な眼差しを見れば、彼の言葉に嘘はないと思った。
その日の夜は、レストランの入ったホテルに泊まった。
抱かれてみて、改めて思う。
やっぱり、藤岡さんはトキとはまったく違う。
別格の存在だ。こんなに気持ちのいいセックスがあったなんて。これまでの私は何だったんだろう。彼がいれば、それでいい。もう、それで。
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