第3話 竹内真帆編③

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 失ったものも、これから失うものも、きっと最初から必要なかったのよ。  寝る前に、少しだけ藤岡さんとメールのやりとりをした。その中で、彼はこんなことを言った。 『妻がいなくなればいいのに』  それは、どういう意味?  目前から消えてほしい、ということ?  ……心配しなくても、アンケートの効果であなたの妻は消える運命よ。  私はメールを返す代わりに、彼にキスをした。  翌朝、私たちは早めにホテルをチェックアウトした。  海辺を散策して、街に戻ろうという計画を立てていた。  ホテルが建っているのは、海に面する山の中腹だ。木々の連なるワインディングロードを降りれば海辺沿いの道に出る。
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