第1話

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ふう、と煙草の煙をはくと、頭上に広がる青空が一瞬だけ隠れた。 遠くの方で、鐘が聞こえる。きっと入学式が始まったんだ。 もう一度煙草をくわえ、身体中に煙を吸い込んだ。 「わ!」 その、いきなりの背後からの声で、俺は噎せかえった。 振り向くと、綺麗なおかっぱ頭の金髪が真っ先に目に飛び込んできた。 咳が止まらず声が出せない。そんな俺のことを察したのか、はっと我に返ったのか、金髪は口を開いた。 「入学式に、出ようとしたら、トイレにいきたくなって…そして、いざ向かおうとしたらみんないなくて、はぐれちゃって…その…16歳にもなって恥ずかしいんだけど…」 「迷子?」 ずばり問うと、白いはだがみるみる赤く染まっていく。なるほど迷子か。 「ふーん、そっか。」 この学園は馬鹿みたいに広い。 校舎も広い。在席する生徒も馬鹿みたいに多い。 わりと有名な進学校らしく、設備は馬鹿みたいに整ってる。 通称、温室の鳥籠。 全寮制で中学、高校、大学へはエスカレーター式。 本当、頭が狂いそうになる。 *
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