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いや、違うな。
この子はそれ程力はない。魔法でも使ったのか。
でも、それだとしたら。
「おかしい・・・」
「え?」
「あ、いや。あ、ありがとな、助けてくれて」
俺は素直に礼を言う。
そうじゃないと、あとでなにされるかわからないからな。
チラリと周りの連中を伺ってから、もう一度女の子を見る。
女の子は天使の様な微笑みで、「いいえ、気にしないでください」と言った。
うむ、可愛い。
見惚れていると、女の子は急にはっ!として「いけない!早く行かないとアリーに怒られちゃう!!」と叫び、全速力で廊下を切り抜けた。
早いな、あの子。もう姿が見えない。
見た目で判断しちゃいけないって、あの子のことなんだろうな。うん。
でも、感心している場合じゃねーな。早くここを切り抜けないと、居心地悪くて吐きそうだ。
俺は、妬みと憎悪で埋め尽くされた廊下を口を抑えながら走って切り抜けた。
頭の中にあの子のことを思い浮かべながら。
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