第5話 孤高の攻略者

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「ソラっ!!」 誰かが呼ぶ声と、 同時に聞こえたグチャリという 不快な音と共に あたりは速度を取り戻した。 ソラは砂埃にまみれながら 床を何度か転がった。 「くっそぅ…」 ドクンッ 「……なんだよ。」 ドクンッ 「やめてよ…。」 ドクンッ ソラは両の手を勢いよく地面につき 顔を上げ叫んだ。 ドクンツ 「なにやってんだよぉおぉお!」 溢れ出る涙を拭った先に見えるのは、 ワームビーストの口に おさまりきらなかった人間二人分の 下半身であった。 血なのか、データの粒子なのか 赤いものが渋きをあげていた。 ワームビーストは、上体を上げて 獲物を噛み砕いている。 ゴクリと、いう音と同時に 残った下半身は二つとも データのチリとなり 消えていった。 カイトとギンは供にソラを押し退け ワームビーストの牙の前へと 駆け出していたのだ。 「カイト…ギン… 消え…ちゃっ…た…の? 嘘だよ。嘘だろ?ねぇ… 返事してよ!」 ソラが地面にうずくまりながら 叫び続けているところを 今度こそは、と ワームビーストが狙いをつけていた。 「まだ…。まだ、食い足りねぇか。」 そこへ、アキラが立ちはだかる。 眉間には深いシワがよっている。
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