第1話 白銀の白虎

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フオラトのNPCに 話かけるだけで何度でも受注出来る モンスター駆除のクエストで 報酬は3000Gと銀の羽3枚。 このクエストの面白いところは 報酬の銀の羽根を5枚集めると 町長のくじ引きに挑戦することが 出来るということで その景品がそれまた面白い。 1等賞にはなんと プレイヤーホームが用意されている。 残念賞でも回復錠が貰えるので この町では一番人気のクエストだろう。 相葉はこのクエストを 何度も受け何度もくじ引きに 挑戦してきたが残念賞しか もらったことがないということだった。 一方ワイズは、 ゲーム開始早々にこの町を ホームにしてクエストを受注し 2回の報酬でくじ引きに挑戦。 このくじ引き挑戦者、 第1号であったからであろうか 1度目にして 1等賞を引き当てたのだ。 正確にはアイテム 【マイホーム1の鍵】を 手に入れたのである。 そのプレイヤーホームは 2階建ての木造で 1階には広いリビングとトイレが 2階には居室が2つと風呂がある。 2人がアイスカフェラテを 優雅に飲んでいるのは そのワイズ宅のリビングで 相葉は目覚めてからの3週間を 2階の1部屋で過ごしていた。 相葉もワイズもこの幽閉された ゲームの世界での生活に 慣れてきていている。 「1ヶ月も経っておと沙汰無しか… ゲーム内も荒れるだろうな。」 相葉はそう言ってから グラスを一気に空にすると 立ち上がり玄関へと向かう。 「お?今日もお出かけか?」 「また、銀の羽根…やってくるよ。」 「相葉!おめぇあんま無理すんなよ? 戦ってるとこ見たことねぇが そんなに強くもねぇんだからよ!」 相葉はワイズに背中を向けたまま 片手を上げ、外出した。 バタン…… ワイズは閉まった扉を 眺めながらグラスを口に運ぶ。 「そんなに家が欲しいかねぇ…」
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