第1話 白銀の白虎

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ワイズは ユノからのPT招待に快く承諾した。 ワイズは浮かれていた。 ワイズの実年齢は25歳。 現実では社会人で 単身用のワンルームに 1人暮らしをしていた。 社会人3年目にして 休みの日数は2ヶ月間に片手指以上に もらえたことがなかった。 久々の休日とゲームの サービス開始日が同日になり プレイしたところ このゲームの世界に幽閉されて しまったのだ。 ワイズは現実での 仕事に疲れていた。 充実とはかけ離れ退職届を 常に鞄に潜めながらも 生活のために耐え忍ぶ 日々を送っていた。 人には言えないが システムエラーから1ヶ月が経ち 恐怖で埋め尽くされていた ワイズの気持ちは いつしか希望へと変わっていた。 現実では到底叶わないであろう 夢のマイホームを手に入れ 相葉という仲間と共に過ごし 今日に至ってはユノという 女性プレイヤーに出会った。 それはもう浮かれまくっていた。 いつもよりも 軽快にテンポ良い歩みで 町長の家へと向かう。 「アンタはいつフオラトへ?」 その途中、返事のない後方へ 振り向くとユノがいない。 「な、何?!」 ワイズは視線を左上に送り Y'sとyunoの名前があるのを確認して ホッとすると手早くフオラトの マップを表示させる。 張り切りすぎて 置いてきてしまったのかと 思いもしたがマップを見て ワイズは首を傾げる。
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