月1の営業の男

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「す、すみません」 なんだ、この人ひょろっとしてるのに力あるんだ。 すっと立ち上がった斎藤がにっこり微笑んで 「これ、会社でる時に開けたのでまだまだ暖かいですから」 そう言って私の手のひらに 小さなカイロを乗せた 「これだけ終わったら、売場に戻るので」 「いいえ、女性は体を冷やしてはいけませんよ?」 うっ・・・なにこの人 笑顔に圧倒されて言い返せず、結局そのカイロをいただくことになってしまった 「どうも」 「いいえ」 笑顔を崩さないこの男はどうも胡散臭い気がしてならない。 「アロマランプは届きましたか?」 「あ、はい。すごく可愛いので、早速店頭に並べました」 「ありがとうございます。では、店頭で陳列の確認などを少しさせていただきます」 「はい、店長がいますので」 「わかりました。」 斎藤は足元に置いた鞄を手に取り踵を返した
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