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「ちぃ兄さま、もうすぐご飯よ?でかけるの?」
「あぁうん。少しだけ」
呟くように返事をして、家から出ました。爪先は自然と、あのさくらの木がある方向へと向きました。
妹が話していた、イタリアの子が、あのさくらの木の下にいた子とは限りませんでした。どちらかと言えば、そうじゃない確率の方が高いのであって、しかしそれでも、あの木のもとへと歩きました。
さくら、
小説、
イタリィ、
戦争、
銃後、
青色。
―――そこには、誰もいませんでした。
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