さくら、その下で

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       * 例えば皆様は、わたし達の国であります「日本国」が敗戦したとき、日本国民全員が哀しみに浸ったとお考えでしょうか。 例えば皆様は、学生にも関わらず出兵したわたしが、日本国が敗けたのを聞いて哀しみに浸ったとお考えでしょうか。 あの時の日本国は壊れておりました。勝敗。そのようなものは途中から誰も考えておりませんでした。ただただ怠惰に、緩慢に、締感に浸り、ゆるゆると、ゆるゆると。闘っていたのでした。 あのラヂオ放送を聞いて、わたしはただ茫然といたしました。 嗚呼、敗けたのか。 そう呟いたのかも、しれませぬ。ただただ本当に、茫然自失、とでも言うのでしょうか、白く、真っ白になりました。学生として復帰は致しましたが、なんと言っても敗戦国になった訳ですから、まともに勉学に励むなど、出来よう筈も無かったのです。
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