117人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇◇◇
「元気だったのか?」
視線を落としたまま、顔をあげない麻琴。
「あ、うん。ちゃんと予定通りに留学出来たから。あの、麻琴」
「今更何の用で呼び出した?あんな別れ方して今頃再会して何になるんだよ」
キツイ言葉に固まるかんな。
はぁっ。麻琴は頭を抱えて大きなため息をついた。
「…ゴメン、嘘。お前には申し訳ないって気持ちしか湧いてこねぇ。
あの当時の自分を思い出し再現してみたんだけど…俺って酷い人間だったな。
かんな、本当に申し訳なかった。精神的に追い詰めてしまって、なんて詫びればいいか…心から申し訳なかったと思ってる」
麻琴に初めて頭なんて下げられたかんなは目を見開いていた。
「やめて麻琴。私が謝りたくて雫ちゃんに頼んだの」すぅ、と一つ息を吸ってかんなは頭を下げた。
「麻琴色々ごめんなさい。きっかけはどうあれ、麻琴を裏切ってしまった。それを最悪な形で知ったよね。
ホテルで、自殺未遂だなんて…
本当にごめんなさい」
お互いに頭を下げる麻琴とかんな。見た目にそぐわず、妙に初々しい二人を、周囲は奇異なものを見る目で見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!