第12章

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「彪の脚、すごく青いわよ。痛そー」 湿布を片付けながらおばさんがあっけらかんと感想を述べた。 「「誰のせいだと思ってんだよ…」」 小声でつっこむ森崎兄弟。 何があったんだろう? 「さて、雫、上いこ」 彪がピクリとしたけど、気づかないふりをしたツキ兄が私に手を差しのべる。 脚の湿布を見詰めたままの彪、膨れっ面のおばさん。「何でー?ここでお喋りすればいいじゃない。雫ちゃんがせっかく来たのに」 私はどうすればいいのだろうか。 ツキ兄は、僅かに伸ばしかけた私の手をぐいっと引っ張って立たせると、いつの間にか用意したお茶セットを持ってドアに向かった。もちろん手は繋いだままで。 「今日は俺も久しぶりだから、雫は連れてくよ。また今度ね、母さん」 そう行ってとっとと二階の私室へ向かった。
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