第12章

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◇◇◇◇◇ 月下の部屋の前まで行くと、彼がドアを開けてくれて中に入るように促された。 『おじゃましまーす』 「はい、どうぞ」 テーブルの前のクッションの上に腰を下ろし、いくつかあるクッションを一つ膝の上に置いた。 「はい、雫お待ちかねの」 目の前にトレイが置かれて、いい香りの紅茶と美味しそうな焼き菓子が用意された。 『別にお菓子に釣られた訳じゃないもん』 ティーポットの紅茶をカップに注ぎながら言い訳しても、あんまり説得力がない。 「だって雫いつもはベッドの上に座るじゃん。ここに座るのは食べる時か勉強の時じゃない?」 お皿を配りながら嬉しそうに発言するツキ兄。 あれ、そうだっけ?お見通しなのが恥ずかしい… 『いただきまーす。 これから勉強するんだもーん』 と言ったつもりなのだけど、口の中のマドレーヌに水分を取られて“いただきます”しか聞こえなかった…
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