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◇◇◇◇◇
月下の部屋の前まで行くと、彼がドアを開けてくれて中に入るように促された。
『おじゃましまーす』
「はい、どうぞ」
テーブルの前のクッションの上に腰を下ろし、いくつかあるクッションを一つ膝の上に置いた。
「はい、雫お待ちかねの」
目の前にトレイが置かれて、いい香りの紅茶と美味しそうな焼き菓子が用意された。
『別にお菓子に釣られた訳じゃないもん』
ティーポットの紅茶をカップに注ぎながら言い訳しても、あんまり説得力がない。
「だって雫いつもはベッドの上に座るじゃん。ここに座るのは食べる時か勉強の時じゃない?」
お皿を配りながら嬉しそうに発言するツキ兄。
あれ、そうだっけ?お見通しなのが恥ずかしい…
『いただきまーす。
これから勉強するんだもーん』
と言ったつもりなのだけど、口の中のマドレーヌに水分を取られて“いただきます”しか聞こえなかった…
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