第12章

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「じゃあ勉強しに来た雫に… はい、これ」 差し出されたのは1冊のノート。 首を傾げてみると 「雫、成田先生の授業取ってただろ?あの先生毎年だいたい同じ問題だから、これ覚えて試験に回答すればいいよ」 『えっいいの!?ありがとう。 ツキ兄もこんな不正をするんだね』 ツキ兄はわざとらしくしかめっ面をして私の頭をガシッと掴むと 「不正じゃありません。 効率のいいテスト勉強です。 それとも、不正は良くないからこのノートは要らないね?」 ノートを取り上げられそうになって、腕にしがみつく。 『いるぅ!要りますー!』 ツキ兄は右腕にぶら下がった私を見て、ニッコリ笑うと 「じゃあお礼は?勿論あるよね、お礼。それ次第では渡せないなぁ」 楽しそうだった。
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