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「じゃあ勉強しに来た雫に…
はい、これ」
差し出されたのは1冊のノート。
首を傾げてみると
「雫、成田先生の授業取ってただろ?あの先生毎年だいたい同じ問題だから、これ覚えて試験に回答すればいいよ」
『えっいいの!?ありがとう。
ツキ兄もこんな不正をするんだね』
ツキ兄はわざとらしくしかめっ面をして私の頭をガシッと掴むと
「不正じゃありません。
効率のいいテスト勉強です。
それとも、不正は良くないからこのノートは要らないね?」
ノートを取り上げられそうになって、腕にしがみつく。
『いるぅ!要りますー!』
ツキ兄は右腕にぶら下がった私を見て、ニッコリ笑うと
「じゃあお礼は?勿論あるよね、お礼。それ次第では渡せないなぁ」
楽しそうだった。
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