第12章

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お礼と聞くと不吉な予感しかしないのは何故だろうか。 『お金はあんまりないんですけど…』 恐る恐る言ってみた。 「お金なんていらないよ」 ですよね。ますます不吉な予感… 『何すればいいでしょうか?』 プッ「何で敬語?そうだなぁ。 じゃあ食べさせてもらおうかな」 それ、と言って指差したのはお皿の上のお菓子。 『これ…?』 「そう、それ」 戸惑いながら焼き菓子を一つ手に取って、ツキ兄に視線を戻せば既に口を開けて待っている。 ぱくっ かわいいっ! 「ん、…まい」 甘いと言ったのか美味いと言ったのかは知らないが満足そうで何よりだ。変なお願いじゃなくて良かったぁ~ 「雫、お茶ちょうだい」 ツキ兄が口元を押さえながらモゴモゴ言ったので、カップを手に取った。 渡そうとすると 「カップ使わないで飲ませてくれる?」 カップ使わないで…? え、まさか!? そぅっとティーポットを手に取って、ダメ元でチラリと目で様子を伺うと、眉間にシワを寄せてこっちを見ているツキ兄と目が合った。やはりティーポットから直に飲ませて欲しい訳じゃないらしい。 やっぱり口移し…?完全に油断した。
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