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『‘今は’何ですか、途中で止めたら気になるじゃないですかー』
「勘違いかもしれないから…」
かんなさんは視線を逸らしてしまった。
かんなさんの前に回って両手で肩を掴む。
『かんなさん何ですか、言って下さい』
「今は…
今は髪が黒いよね…?」
…え?
思わず笑ってしまう。
『かんなさんそれ彪じゃなくて、彪のお兄さんです。
人違いですよ~ビックリした』
そういいながらも頭の中では別な事がぐるぐると廻っていた。
『かんなさん、私ここで失礼します。麻琴に会ってきます…』
そう呟いた事も、かんなさんが私の名を呼んで引き止めようとした事も、何も覚えていなかった。
一目散に麻琴の研究室を目指す。聞かなきゃ、確かめなきゃ――
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