第13章

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◇◇◇◇◇ なんて言えばいい? ――嘘を? ――慰めを? ――真実を? 雫と再会した後、実は森崎月下の事を調べたのだ。 え?イヤ、わかってる。ちょっとやり過ぎたって思ってる。そして――知らなきゃ良かったと今は思う。少なくとも雫を前にして真実を告げるか迷う事はなかったからな。 奴は王子様のような存在だった。 眉目秀麗、文武両道、そして何より周りからの信頼も篤い。 だが俺は見事なまでに思い込んでいた。絶対に森崎月下のしっぽを掴んでやる、と。 そして幸か不幸か俺の執念は実を結んでしまった。 月下は時折羽目を外していた。 ――しかも遊び人というレッテルを貼られた弟の名を騙って。 あんなに月下を陥れてやりたかったのに、その為に雫に近づいたのに。月下を陥れるよりも雫を傷つけたくないなんて、本当どーしようか…
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